la cuillère en bois:木製のスプーン
とても驚かれることが多いのですが、我が家の le petit déjeuner (朝食) の定番は納豆ご飯です。そしてその時に奪い合いになるのは une cuillère en bois (木のスプーン) 。la cuillère à soupe (スープ・スプーン) と la cuillère à dessert (デザート・スプーン) の間くらいの大きさで、le bol en céramique (陶器のボウル) に当たってもカチカチと言わないので、納豆にはちょうどいいのですが、わざわざ買った物ではなく、頂き物の un gâteau allemand (ドイツ菓子) か何かについていたものなので、1本しかないのです。食器屋さんや和の小物屋さんに寄る度に同じような物を探すのですが、なかなかちょうど良いのがなく、いっそのこと le gâteau を買おうかと、la carte (カード) が欲しくて le chocolat (チョコ) を買う子どもの心境になっています。以前は mon mari (ダンナ) と «Premier arrivé, premier servi.» (早い者勝ち) の暗黙のルールに則って、早起きした方がこの la cuillère en bois を使っていたのですが、最近この争奪戦に子ども達も参入してきました。hier matin (昨日の朝) はトマが素早く la cuisine (キッチン) に走って la cuillère を取って自分の席に座り、さあ納豆を口に運ぼうかという時に横から «C’est à Lucas !» (ルカの!) とルカ。どうしてもトマには我慢をさせることが多いので、たまには介入しようと «Demain, ce sera ton tour. Aujourd’hui, c’est à Thomas.» (明日はルカの番にしようね。今日はトマの) とアンパンマンやミッキーの les cuillères を持ってきてやりましたが首を縦に振りません。そのうち「あいそはぐー、だんけんぽっ」(最初はグー、じゃんけんぽん) と、じゃんけんを挑んできました。ルカは半分程指が曲がった半端なパーを出して、チョキを出したトマにあっさり敗北。ややこしいことになったぞと思っていたら、トマが «Encore une fois.» (もう一回) と言い出し、なんと、後出しをしてルカに勝たせてやり、la cuillère をルカに譲りました。かくして、ルカはご満悦で納豆ご飯を食べ、母にべた褒めされたトマもなんだか誇らしげ、思いがけない平和的解決に母は驚くやらうれしいやら。les genoux de maman (母の膝) に始まり、la voiture de police (パトカー)、une capsule de bouteille en plastique (ペットボトルの蓋) に至るまで、とにかくなんでも同じ物を欲しがって des disputes (ケンカ) が絶えず、最近では可能な限り同じ物を2つ用意するようにしていましたが、1つの物を奪い合い、そして譲り合うことで育つ心もあるのだと学んだ朝です。