お正月気分が少し抜けつつあるこの時期、フランスでは la galette des rois という、アーモンドクリームが入ったパイ菓子を食べます。galette というのは丸くて平たいクッキーやパイの類いのこと、rois は王様のことです。
「王様のお菓子」と言うと、Louis XVI が Marie-Antoinette と Versailles で食べていたようなものを想像しますが、les rois といっても rois mages、日本では「東方の三博士」と呼ばれる、Jésus Christ (イエス・キリスト) の la naissance (誕生) を祝うために l’Orient (東の方) から des cadeaux (贈り物) を携えてやってきた賢者達のこと。
le 25 décembre に誕生したのを知り、遠方はるばるやって来て、le petit Jésus に会ったとされる le 6 janvier (1月6日)は Épiphanie (公現祭)、つまりキリストが公に姿を現した日として祝われ、la galette des rois を食べるようになりました。でも6日は祝日ではないため、フランスでは家族が集まりやすいように、今では Noël (クリスマス) から数えて2番目の dimanche (日曜) になり、今年の Épiphanie は8日で、我が家でも近所の友人一家を招き、みんなで美味しく頂きました。
この galette の中に隠れているのは une fève、もともとはソラマメを表しますが、最近では陶製の小さなお人形が入っています。伝統的には、集まった人達の中で一番若い人 (たいていは子ども)が sous la table (机の下) に隠れ、別の誰かが la galette を切り分け、« C’est pour qui cette part?» (これは誰の分?) と sous la table の子どもに聞き、子どもは «C’est pour papa.»(パパの分) といった具合に決め、それに従ってみんなに配ります。
我が家の最年少はルカですが、彼にやらせるときっとみんなルカの分になってしまうので、今年はトマにやらせました。さて、なぜ隠れるのかと言うと、切り分けた時に la fève がうっかり顔を出すことがあるので、どの la part (一切れ) に la fève が入っているか見えないようにするためです。そして la fève が当たった人が le roi (女性ならば la reine : 女王) になり、la couronne (王冠 : la galette を買うと必ずついています) をかぶって自分の好きな人を la reine もしくは le roi として選び、みんなに «Vive le roi !» (王様万歳!) と祝福されます。
le roi になったらその1年間 le bonheur (幸運) が続くとも言われるこの楽しい行事ですが、la fève の入っていない la galette des rois もあります。それは毎年 l’Élysée (大統領官邸) に贈られるもの。直径1mètre, 重さ 30 kilos 以上と推定されるこの特大 galette には la fève も la couronne もありません。le Président (大統領) がピカピカの la couronne を冠って、«Vive le roi !» なんて拍手されるのは、やっぱりマズいんでしょうね。