regret


旅行好きの父が、先月、ついに遥か遠くに旅立ってしまいました。仏検直前という時期に、急な休講などで大変ご迷惑をお掛けしましたこと、改めてお詫び申し上げます。

奇しくも、その日は l’anniversaire de mon mari (ダンナの誕生日)。contre (反対) とも pour (賛成) だとも言わせる隙を与えずに le mariage (結婚) を決めてしまった娘に対する、最後の la résistance (抵抗) だったのかもしれません。

これからは chaque année (毎年) こんな声が聞こえそうです。
「オレの命日にダンナの誕生祝いなんかやってんじゃないよ」

depuis quelques années (数年前から) 体のあちらこちらに les uns après les autres (次々と) les cancers (ガン) が見つかり、闘病生活をしておりましたし、そもそも un certain âge (それなりの年齢) でしたので、dans un avenir proche (近い将来) こんな日が来ることは覚悟をしていました。

とは言うものの、4月には最後の力を振り絞り、 son dernier voyage à l’étranger (最後の海外旅行) と称して Paris と Londres に行ってきたばかりでしたし、5月の連休に帰った時にはまだ自宅で日常生活を送っていたので、まだまだ大丈夫だと思っていた為、正直なところ、心の準備はあまりできていませんでした。

逆に言うと、あまり長い間苦しむこともなかったですし、最後まで父らしく過ごしていたので、喜ぶべきことなのかもしれません。

ただ、そう思うようにしてみても、親不孝者の娘は le regret (後悔) ばかりです。

J’aurais dû aller le voir plus souvent. (もっと頻繁に会いに行けば良かった)
J’aurais dû lui dire des mots plus gentils. (もっと優しい言葉をかければ良かった)

 “J’aurais dû …” は「~ねばならない」を表す動詞、devoir の条件法過去を使って、「~すべきだったのにしなかった、できなかった 」という後悔を表す言い方です。

でも、quelques jours avant sa mort (亡くなる数日前)、病院で付き添っていた ma sœur (姉) にこう言ったそうです。

「楽しい人生だった。一片の悔いもない。」
フランス語にすると、こんな感じが一番近いでしょうか。

“ J’ai eu une vie bien agréable. Je n’ai aucun regret.”

“aucun” は「どんな〇〇も、一つの〇〇も(ない)」という否定の形容詞です。形容詞なので、後に来る名詞が女性形の場合は “aucune” と女性形になります。

父なりに、色々と苦労もあっただろうし、もっとやりたかったこともあったに違いありません。

でも、それら全てを受け入れて、自分の中で消化し、人生の最期の時にこんな風に言えるのは本当に素晴らしいし、娘としても嬉しく、一人の人間として羨ましいです。

「かく生きよ。」” Que tu vives ainsi.”

そんな大きな宿題を課された気がします。

「やった後悔はだんだん小さくなるけれど、やらなかった後悔はだんだん大きくなる」

そんな言葉もどこかで聞いたことがあります。確かにそうかもしれません。

思い通りになることの方が少ないかもしれないけれど、一度きりの人生、regret のないように生きたいものですね。
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