Minitel (ミニテル) が、先月、le 30 juin にそのサービスを終了しました。1980、90年代にフランスに滞在したことのある人なら、« Minitel » と聞くと la nostalgie (懐かしさ) を感じるのではないでしょうか。「まだ使ってたの?」とびっくりされる方もいらっしゃるかと思います。Minitel とは、1970年代に France Télécom (フランス・テレコム;フランスの電話会社) が開発した、電話回線を使って専用端末に des informations (情報) を提供するサービスで、言わば l’internet (インターネット) の草分け的な存在。
le numéro de téléphone (電話番号) の検索、le T.G.V. を始めとする les trains (電車) や l’avion (飛行機) の la réservation (予約) などのサービスの他、la météo (天気予報) や les informations (ニュース)を閲覧できたり、オンラインバンキングやチャットもできる、当時としては世界的にも画期的な通信サービスでした。 専用端末は小さな un écran (画面) に le clavier (キーボード) が付いていて、en noir et blanc (モノクロ) ですが簡単な画像も表示できたのです。しかも、この端末は、昔の黒電話のように、France-Télécom から gratuit (無料) で支給され、壊れたり古くなったりしたら、また新しい物と取り替えてもらえるものでした。
最盛期の1999年には、なんと 26,000 種類ものサービスが存在し、フランスの人口の42%にあたる2500万人がこの Minitel を利用していたというデータがあります。 France Télécom にとっては大成功を納めた事業であり、1990年代後半に Minitel がもたらした売り上げは、毎年約10億ユーロ (約1000億円) とも言われています。
1990年代後半と言えば、Internet が出回り始めた頃。そんな時にこの Minitel はこんなに利益を上げていた訳ですから、他の先進諸国に比べ、フランスでの Internet 普及率はなかなか上がりませんでした。l’ordinateur (パソコン) に比べ、操作も簡単で、端末も solide (丈夫) でしかも gratuit 、その上 ADSL や le fibre optique (光ファイバー) などの高速ネット回線が使えない la zone rurale (農村地帯) でも都市部と同様なサービスが受けられたのですから、この Minitel が根強く支持されていたのもうなずけます。
私が学生時代に下宿していた家にも、もちろん le téléphone (電話) の横に Minitel が鎮座していて、la famille d’accueil (ホストファミリー) 達は日常的によく使っていました。びっくりしたのは、知り合いに un sourd-muet (聾唖) の方がいて、時々やってきて、この家の Minitel を使って彼の la famille (家族) や ses amis (友達) とコミュニケーションをとっていたこと。言ってみれば、画面の大きな un téléphone portable (携帯電話) でメールをするようなものなので、彼にとってはとても pratique (便利) な機械だったのです。ものすごい勢いで le clavier を叩いていたのが非常に impressionnant (印象的) でした。きっと今では l’ordinateur (パソコン) や le téléphone portable のメールを使っているのでしょうね。
révolutionnaire (斬新) と言われたものも、いつかは ordinaire (普通) になり、そして vieux (古く), démodé (時代遅れ) となってしまう。それが世の流れだと思いますし、いろいろな物が開発されるおかげで、便利で豊かな社会になっています。それは充分よく分かっているつもりですが、なんだか、1つの時代が終わったようで、一抹の寂しさも感じたこの Minitel のニュースです。ちょうど、エフィで私の le bras droit (右腕) としてがんばってくれていた Sayuri さんも le 30 juin をもって退職しました。こちらも非常に寂しいニュースですが、この場を借りて、la reconnaissance (感謝の気持ち) を伝えると共に、今後の le bonheur (幸せ) を祈りたいと思います。 Merci et soyez heureuse !!