先日、長男トマの une dent de lait (乳歯) が初めて抜けました。数週間前からグラグラしていたのですがなかなか抜けず、ついに「お母さん抜いて〜」とお願いしに来たので、あまり気が進まなかったのですが、ぐいっと抜いてやりました。
「メリッ」というか、「バリッ」というか、la gencive (歯茎) から une dent de lait が離れる le dernier moment (最後の瞬間) の、あの独特の感覚。 もう30年以上経っているのに、la langue (舌) で何度もこっち側とあっち側にぐいぐい押したり、固いものを食べているうちに抜けてしまったりしたことや、la bouche (口) の中にじんわり広がる du sang (血) の味さえも蘇ってきました。
私が小さい頃は、下の歯が抜けると sur le toit (屋根の上) に投げ、上の歯が抜けると裏庭の une petite rivière (小さな川) に流して、丈夫な歯が生えてきますようにとお願いしたものですが、上の歯は軒下に投げるのが一般的だそうですね。なぜ我が家では une petite rivière だったのでしょうか。小さい頃住んでいた家の軒下が、物を投げ込むことが難しい構造になっていたのかもしれませんが、うちの地域の le coutume (習慣) なのかもしれません。
高層マンションに住んでいる子どもの下の歯はどうするのだろうと心配になって調べてみたら、今では抜けた les dents de lait を保存するケースがあるようです。簡単なプラスチック製のものから、キャラクターもの、桐製の高級品まで出ており、少子化社会ならではのマーケットだなと、感心してしまいました。le cordon ombilical (へその緒) に始まり、les cheveux (髪の毛) だの、les empreintes des pieds (足形) だの、子どもがらみのいわゆる「記念モノ」は、取っておこうと思うとキリがなく、la crèche (保育園) や l’école (学校) から持ち帰る「作品」の数々もアッという間に夥しい数になっており、ただでさえ狭い居住空間がどんどん侵略されるのが悩みのタネです。
ちなみにフランスでは des dents de lait が抜けると、l’oreiller (枕) の下に置いておきます。すると夜中に une petite souris (小さなネズミ) がやってきて、une petite pièce (コイン) と交換していくのです。長男の la première dent de lait を一緒に屋根に投げようと楽しみにしていたのに、フランスに持って行くそうで、大事にしまってしまいました。しかも、なぜか、高崎名物ダルマ弁当の容器に入れて、周りをぴったり du scotch (セロハンテープ) で留めてしまい、振るとカラカラと乾いた音がしています。こうやってだんだん大きくなり、離れていくのだな、と、少々切ない音です。
そして、そのダルマを大事に son sac à dos (リュックサック) に入れて、今日 papa と son petit frère (弟) と一緒に en France (フランスに) 旅立ってしまいました。数年ぶりに1人でのんびり過ごす夏となり、嬉しい反面、心の中では、カラカラと少し寂しい音がしています。
お気に入りのダルマ弁当 |
中身は何?「は」です。 |