横浜市民は、le patriotisme (愛国心) ならぬ「愛浜心」が強いとよく言われますが、その la preuve (証拠) の1つに、横浜出身の人は、必ずと言っていいほど「横浜市歌」を歌うことができます。この歌はなんと、あの森鴎外が森林太郎の名で作詞しており、1909年、明治42年に作られてから un siècle (1世紀) 以上も歌い継がれている名曲です。「♫我が日の本は島國よ〜」と勇ましく始まり、途中で物悲しく転調して、小さな浜辺の村だった昔の横浜の風景に触れ、また元気よく今の発展した港町横浜を讃えるというものなのですが、なかなか味わい深い良い歌で、私も好きです。
では、なぜ、横浜出身者がほぼ全員歌えるのか。それは、l’école primaire (小学校) で歌い込まされるからなのです。
うちの長男は l’école primaire に入ってまだ間もないですが、どうやら校歌よりも、君が代よりもよく指導があるようで、もうすっかり覚えてしまい、家でもよく口ずさんでおります。でも、レゴやプラレールなんぞやりながら、美しいボーイソプラノで「♪あ〜らゆるくによりふ〜ねこそか〜よえ〜♫」と歌っていると、もっと子どもっぽい歌はないものかと苦笑してしまいます。なにしろ明治の文豪の詞ですから、美しい日本語なのですが、高学年でも意味は難しいかもしれませんね。
横浜生まれ横浜育ちの生粋のハマッ子に言わせると、横浜は3日住めばハマッ子になれるけど、横浜市歌を歌えないと本当のハマッ子とは認めない、とのこと。そういえば、トマの la cérémonie d’entrée (入学式) の時には、les parents (保護者) 席からも大きな歌声がしました。私も「富山県民の歌」は l’école で習ったこともなく、うろ覚えでちゃんとは歌えませんが、横浜市歌は歌えます。ハマッ子と認めてもらえるでしょうか。
l’équipe de France de football (サッカーフランス代表) の中には les immigrés (移民) が多く、la Marseillaise (ラ・マルセイエーズ;フランス国歌) を歌える選手がほとんどいないと一時期問題になりましたが、もしかしたら横浜市歌を歌えないと、横浜市代表にはなれない、なんてこともあるのかもしれませんね。
ちなみに私が通勤に利用している le métro municipal (横浜市営地下鉄) では、駅の構内で朝夕に横浜市歌が流れています。先日、3歳の次男ルカを連れて、chez le docteur (お医者さん) へ行くために le métro に乗った時のこと。「あ!この歌だ!」と目を輝かせ、「♫こ〜のよ〜こはまに〜ま〜さる〜あら〜めや〜」と歌い出しました。son grand frère (兄) が家で歌うのを聞いて、覚えてしまったようです。我が家の息子2人は、もう立派なハマッ子です。